もう一つの証-2

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「渉が…直接謝りたいって言うからさ」 室長は私と祐子ちゃんに笑顔をくれた。 「いえ…そんな…大丈夫です」 恐縮する祐子ちゃんに対して、私は… 今すぐに渉さんを抱きしめて、いい子、いい子って髪を撫でたいくらいに嬉しかった。 今日は帰ったら…ちゃんと褒めてあげなくちゃ。 私は何とか衝動を抑えて、視線だけに今の気持ちをたっぷりと込めて渉さんを見た。 「時間がねえ、とっとと食うぞ」 渉さんは照れ臭いのか私と目を合わせようとしなかったけれど、私はそれでも嬉しくてたまらなかった。 4人で箸を手に取ったところで、私たちの雰囲気に水を差す会話が聞こえてくる。 「…社長はともかく…あの子誰?メチャクチャ邪魔なんだけど」
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