もう一つの証-2

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「…社…長…」 かろうじて渉さんの名前ではなくそう言った。 「桐谷さんと…社長が…?」 女子グループの一人が呟いた。 「そうだ。文句あんのか?」 渉さんにそう言われて文句を言える人は…いないとは思うけど。 「だって噂では…」 噂女子の周りでは、自分たち自身も噂に振り回されていたことにやっと気付く。 「今更噂のせいにしてんじゃねえよ。自分たちの口から出た言葉だろ。何なら本当かどうか、この場で証明してやろうか?」 渉さんが私を向いた。 その目が… 私を捕える。 …渉さん…!? 「…ダメですよ…」 私は小さく呟き、両手をカラダの前に突き出して渉さんに向けた。
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