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「…社…長…」
かろうじて渉さんの名前ではなくそう言った。
「桐谷さんと…社長が…?」
女子グループの一人が呟いた。
「そうだ。文句あんのか?」
渉さんにそう言われて文句を言える人は…いないとは思うけど。
「だって噂では…」
噂女子の周りでは、自分たち自身も噂に振り回されていたことにやっと気付く。
「今更噂のせいにしてんじゃねえよ。自分たちの口から出た言葉だろ。何なら本当かどうか、この場で証明してやろうか?」
渉さんが私を向いた。
その目が…
私を捕える。
…渉さん…!?
「…ダメですよ…」
私は小さく呟き、両手をカラダの前に突き出して渉さんに向けた。
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