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「俺とお前がお互いを想ってる。…それでもう…十分釣り合ってんだろ」
「…渉さん…」
私も
渉さんを名前で呼んでいた。
みんなの前で
涙を流して。
私の向かいでは
祐子ちゃんも指先で涙を拭っていた。
「祐子ちゃん…私…自分のことばっかりで…ちゃんと助けてあげられなくて…ごめんね…」
彼女は首を大きく横振った。
私は誰に言うでもなく
その場でしっかりと言葉にした。
「…私が付き合ってるのは…社長です。遠野社長と…お付き合いしています」
「…ごめんなさい…」
女子グループの誰かから静かな謝罪が囁かれた。
渉さんの手が私の頭にふわりと置かれた。
「お前はもうとっくに…俺にふさわしい女だ。お前以外に俺に誰がいる?…誰にも文句は言わせねーよ」
渉さんは箸に手を伸ばした。
「早く食うぞ。時間がねえ」
渉さんは冷めたから揚げを口に放り込んだ。
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