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渉さんはまっすぐにデスクに向かい、そして椅子に座…
らずに私を振り返る。
私はドアの近くに立ったまま。
渉さんの少し上げた口角は
私の何もかもを見透かしている証。
私はジワリと込み上げる涙が流れ出る前に渉さんに言った。
「今だけ…いいですか?」
渉さんは笑う。
「ああ。まだ、昼休みの時間だろ」
私は渉さんに歩み寄り、そして…
その胸に飛び込んだ。
渉さんの広い背中に自分の細い腕をめいいっぱい伸ばす。
…渉さん…。
渉さん…。
渉さん。
私がわずかに顔を上げると渉さんがすくい取るように私の唇を奪う。
私は角度を変えて何度も何度も渉さんのキスをせがんだ。
キスの合間に小さく呟く。
「ごめんなさい…」
私に出来る…
唯一の謝罪方法…
キスして…ごめんなさい
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