【鶯の声】

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   答えると、ひどい目に遭いそうな気がして、思わず黙る。  それを察してか、伊達先生はハハッと声を上げて笑った。 「飛鳥さんは、賢いですね。スルーしていただけてよかった」 「……答えてたらどうなってた……?」 「さて。答えによります。僕は回りくどいことは苦手なので」 「数学教師なのに?」  思わず、数学教師が黒板に展開するややこしい記号の羅列を思い出す。  あんなものを普通に操れる理系の感覚は、文系のあたしには判らない。 「実地で教えるしか、  僕には無理ですから」 「……帰ります」 「賢明です」 .
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