【鶯の声】

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   ぱち、ぱち……と瞬きの回数が多くなる。  どうしよう。あたし、何か失礼なこと言ったっけ。  ややあって、伊達先生は「はぁー」と深い溜め息をつきながらあたしの手を握り、そのままぐしゃぐしゃにやわく揉んでくる。 「な、何してんの、先生」 「ちょっと、精神統一を」 「なに、それ」 「……ふー……」  今度は深呼吸を始めた。  意味、判んない。  かといって不愉快ってわけじゃない。  そのままにしていると、伊達先生はあたしの手をぐいっと引いた。 「え?」  驚いて見上げると、伊達先生は握ったあたしの指先に、口唇を触れさせる。 「せ、せんせ……」 「しーっ」 .
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