【鶯の声】

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   伊達先生の口唇は、あたしの指先に軽く吸い付くと、ちゅっと音を立てて離れていった。  何かの影が見え隠れするその仕草。  だけどその意味まで推しはかることはできなくて、思わず震える。 「……おしおきです」 「なん、で……」  あたしは何も……とモゴモゴつぶやくと、伊達先生はにこりと爽やかな笑みを浮かべた。 「そうですね。飛鳥さんは何もしていません」 「だったら、どうして……」 「むしろ、何かあるとしたら僕の方なんでしょう」 「先生、意味判んない……」 .
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