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「そういうの、勝手だよ……」
「勝手なのは承知ですが」
先生はコツ、コツ……とこっちに向かって歩を進める。
ほんの2・3歩だけど、靴音にいちいち心臓が跳ねた。
それを悟られたくなくて、うつむく。
「そうですね。空白の時間をどうにかしたくて、強引にことに及んだのかも知れません」
「強引なのは判ってるんだ」
「ええ。無理強いは趣味ではないので、本気で嫌がられたらできませんでしたけど」
ちくり、と人のわき腹を刺すようなことをいちいち……。
コツン、と先生はソファーの下の方に軽く靴の先を当てた。
ソファーに座っているあたしは、その小さな振動を感じる。
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