第2章

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  「そういうの、勝手だよ……」 「勝手なのは承知ですが」  先生はコツ、コツ……とこっちに向かって歩を進める。  ほんの2・3歩だけど、靴音にいちいち心臓が跳ねた。  それを悟られたくなくて、うつむく。 「そうですね。空白の時間をどうにかしたくて、強引にことに及んだのかも知れません」 「強引なのは判ってるんだ」 「ええ。無理強いは趣味ではないので、本気で嫌がられたらできませんでしたけど」  ちくり、と人のわき腹を刺すようなことをいちいち……。  コツン、と先生はソファーの下の方に軽く靴の先を当てた。  ソファーに座っているあたしは、その小さな振動を感じる。 .
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