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「待ちなさい、そんな恰好で……」
「知らない! 先生に関係ない!!」
はだけたシャツの前をかき合わせて、バッグとコートを掴む。
「飛鳥さん!」
「失礼します!!」
──覚束ない足下に何とか力を入れて、研究所を飛び出した。
ロビーを横切る時、受付と警備員さんのびっくりした顔が目に入ったけど、何もなかったふりなんてできなかった。
身体に残る、先生の色んな感触が生々しくて──まともな大人ならどういう行動を取るか、なんて。
とても考えられなかった。
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