第2章

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   無意識に思い出そうとした瞬間、記憶よりも先にお腹の下がぎゅんと啼いて、全身にゾクンと震えが来た。 「──……!!」  思わずその場にしゃがんで座ってしまいたくなった。  なんとかその衝動をこらえはしたけど、頬が熱くてたまらない。  信じられない。  あれから何年経ってると思ってるの。  その間ずっと、忘れたと自分に言い聞かせながら過ごしてきたあたしもあたしだけど……先生も先生だ。 『……飛鳥さん』  抱きすくめられながらささやかれた声が甦る。  ……信じられない。  バカじゃないの。  すきだ、って。  先生の指が、口唇が、吐息が……声にしないすべてが、そう語ってた。 .
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