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──ああ、駄目な女だ。
自分のことを、そう評価する他なかった。
のろりと、時計を見上げた。
もう11時。
長江さんと部長になんて言い訳しよう……。
コポコポ……とお湯を注ぐ音が聴こえて、音のする方を見た。
白衣を脱いだ先生の背中。
身長高いし背筋も真っすぐ伸びてるし、こうして見てると研究者だなんて思えない。
「……あれ、本当だったんだ……」
掠れた声でそう漏らすと、先生は振り返る。
「何がですか?」
「芸術家とか、研究に携わる人について、本で読んだことがあるの」
「ん?」
「……良識とか、モラルが欠ける傾向にある」
つい、恨めしそうな声になってしまった。
先生はハハ、と楽しそうに笑う。
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