第2章

27/39

277人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
  「だからと言って、僕に押し付けないで下さい。何が書いてあったのか知りませんが」 「う、うそ」 「嘘はつきませんよ。だから、そういう言い方はやめて下さい」 「だって、先生……」 「僕のこれまでの人生で見てきたパターンから、想像しただけです」  困ったような顔をして、伊達先生は手紙を握っているあたしの手首をそっと掴んだ。 「きみが受け取ってしまったんだから、きみが読みなさい」 「受け取ったわけじゃ」 「本を読んでる隙を突かれたんでしょう。同じことですよ」 「むり……」  首筋がなぜか冷たい。  それが強い不安のせいだと何となく判ったものの、片付け方が判らなくて、あたしは先生に縋るしかなかった。 .
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

277人が本棚に入れています
本棚に追加