277人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
手紙の冒頭は、いきなり“前から気になってました。付き合って下さい”だった。
あと2・3行何かあったとは思うけど、頭が視界に入れるのを拒否してしまった。
だって、あたしは伊達先生が好きなのに。
他の人にこんなこと言われたって、困る。
しばらくそのまま硬直していると、伊達先生がやれやれと溜め息をついた。
「……ひとつ、貸しですよ」
重たいものを引きずるような声でそう言うと、伊達先生はあたしの手の中の手紙をそっと引き抜く。
「いいんですか? 本当に」
「ごめんなさ……お願い、します」
「気が進まないの、判ってくださいね」
「はい……」
.
最初のコメントを投稿しよう!