第2章

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   でも、そんなこと言えないし、遅刻状態になったのは先生のせいだ。  にわかに湧いた反抗心で、長江さんの言葉にうなずいた。 「はい。そうみたい、です」 「でしょ? やっぱり! 研究者ってみんな、ああなのかな」 「どうなんでしょうね」  長江さんに調子を合わせながら、改めて身体の重さに溜め息が漏れそうになる。  ずいぶん長い間、お留守だった割に……なんてこと。  朝っぱらからの情事、抗えなかった自分。  自己嫌悪だ。  身体の底から溜め息をつきたいのを何とかこらえていると、長江さんのデスクの電話が鳴った。  その音で、我に返る。  いけない、仕事しなきゃ……。 「はい。開発推進部、長江です……と、はい? はいはい」 .
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