第2章

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   どこかが取った電話が内線で回ってきたんだろう。  長江さんのここでの仕事はもう終わるから、他人事じゃない。  PCを立ち上げながら、そっと会話を聞く。 「あら、本当ですか。申し訳ございません」  謝罪を口にしながら、長江さんはクスクスと笑っている。  こんな気安い会話ができる相手って……? 「早く戻るよう急かしていたので、うっかりしてたんだと思います。お手数おかけしました」  長江さんは「少々お待ち下さい」とにこやかに応じると、電話を保留にしてあたしの顔を見た。 「前田さん、そんなに急いで帰って来たの? 電話、伊達さんからなんだけど」 「え!?」 「あなた、伊達さんの研究室に携帯電話を忘れていったそうよ」 「……!?」 .
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