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どこかが取った電話が内線で回ってきたんだろう。
長江さんのここでの仕事はもう終わるから、他人事じゃない。
PCを立ち上げながら、そっと会話を聞く。
「あら、本当ですか。申し訳ございません」
謝罪を口にしながら、長江さんはクスクスと笑っている。
こんな気安い会話ができる相手って……?
「早く戻るよう急かしていたので、うっかりしてたんだと思います。お手数おかけしました」
長江さんは「少々お待ち下さい」とにこやかに応じると、電話を保留にしてあたしの顔を見た。
「前田さん、そんなに急いで帰って来たの? 電話、伊達さんからなんだけど」
「え!?」
「あなた、伊達さんの研究室に携帯電話を忘れていったそうよ」
「……!?」
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