第2章

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   ありえない。  判っていても、慌ててバッグの中を開く。  携帯は──なかった。  あたしはいつも携帯をバッグの内ポケットに突っこんでいて、派手に倒したりひっくり返しでもしなければ、勝手に落ちることなどあり得ない。  研究室から出てくる時、ちょっと乱暴にバッグを掴んだけど。  その時落ちたなら、あの綺麗な床だ。カシャンと音がして気付けたはず。  その瞬間、ピンときてしまった。  ──あたしがふにゃふにゃになってまどろんでいる間に、先生がバッグから引き抜いたとしか思えなかった。 .
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