277人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
机のそばにあった電気ストーブを、先生はあたしのいるソファーの方にズルズルと引っ張ってきた。
「いいよ、先生が寒いでしょ」
「いえ、僕はいいんです。それより飛鳥さん、身体は平気ですか」
「大丈夫だよ」
「ならよかった。最初……少しきつかったので」
「……生々しいこと言わないで」
「心配してるだけです。ああ、お腹は空きませんか」
「平気」
というか、ああいうことのあとで空腹感とかよく判らない。
コーヒーの香りが立ち込めているから、よけい。
マグカップからのぼる湯気の向こうに、先生の考え込む表情が見える。
.
最初のコメントを投稿しよう!