第2章

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   机のそばにあった電気ストーブを、先生はあたしのいるソファーの方にズルズルと引っ張ってきた。 「いいよ、先生が寒いでしょ」 「いえ、僕はいいんです。それより飛鳥さん、身体は平気ですか」 「大丈夫だよ」 「ならよかった。最初……少しきつかったので」 「……生々しいこと言わないで」 「心配してるだけです。ああ、お腹は空きませんか」 「平気」  というか、ああいうことのあとで空腹感とかよく判らない。  コーヒーの香りが立ち込めているから、よけい。  マグカップからのぼる湯気の向こうに、先生の考え込む表情が見える。 .
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