第2章

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   数学教官室でも、よくあんな顔してたな。  何を考えていたのか、最後まで判らなかったけど。 「あの」 「うん?」  先生は意を決したように、顔を上げた。  ばちりと目が合う。  きょとんと先生の顔を見つめ返すと、彼は一瞬困ったような顔をして、すいと視線をそらしてしまった。 「なに?」 「……いえ」 「なに。言ってよ」  頭の中が、すっかり高校生の頃に戻ってしまっているのを感じながら、コクンとコーヒーを飲み下す。  少し迷ってから、先生の視線はおずおずと戻ってきた。 「……飛鳥さんは、この5年、  誰かとお付き合いしなかったんですか」 「ぶっ」 .
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