【彼女は逃走不能】

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   慌てて芹香の顔を見ると、彼女は思いの外穏やかな目であたしを見ていた。 「それにさ」  芹香は一瞬、探るようにあたしの瞳を覗き込む。 「そういう態度、先生も傷付くと思うよ。だって、話したいからって普通ここまで来てくれたりしないよ」 「……」  それは、いいように取れるけど。  同時に、悪いようにも取れるんだけど。  でも、さすがにバツが悪くてそれは口に出しては言えなかった。 「あたし、部屋でごはん食べるから。2人もそっちで話しなよ」 「え!?」 「菜月も、帰ってこないしさ。ゆっくり。ね?」  なんて余計なことを……! .
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