【彼女は逃走不能】

18/38
前へ
/38ページ
次へ
  「……飛鳥さんの携帯が鳴り出して、これでも肝を冷やしたんですよ。実は」 「……?」 「あなたに、男の人がいたら  どうしようかと。  その時、思いました。  そういう相手からの電話だったら、  どうしようかと」  今にも弾けてしまいそうなほど、切なく張り詰めた先生の声。  彼のそんな声を聴くのは初めてで、思わずぶるりと身震いした。 「電話をしてきたのが、毛利さんでなければどうしていたんでしょう。自分でも、判りません」 「部屋まで来るなんて強引なことしといて、何を……」 「そうなんですが。男心というのは、時に女性のそれより厄介なんです」 「……」 .
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

239人が本棚に入れています
本棚に追加