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先生は膝の上で、ぎゅっと手を握る。
せっかくきれいなスーツなのに皺になる……と、こんな時なのに思ってしまった。
「……5年」
「え……?」
先生の視線が、床にすとんと落ちる。
「5年、待ちました」
「……先生」
そんなこと、言われたって……。
「あなたを追わなかったのは、
ひょっとしたら、
そういう自分に自分で罰を
与えたかったのかも知れません」
ひどく、さめた声で。
先生は、そんなこと、言うけど。
どうしてか自分の口唇が震えていた。
それに気付いた瞬間、ぼろぼろと目から熱い滴が零れ落ちる。
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