【彼女は逃走不能】

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  「僕の全部を、思いのままにしてしまうんですよ。……あなたは」 「そんなこと、できなかったよ」 「男と女ですから。時には、間違いもありますよ」 「また、そうやって曖昧にする……」 「数値で計れるものなら、  あなたにも同じことをしたい。  僕がどれだけ、乱されて  溺れているか──あなたにも、判るように」 「せんせ……」  そんなこと、言うけど。  先生にだって、あたしの気持ちは判らないでしょ。  こうして甘やかにささやかれるだけで全部許してしまう、あたしの弱さなんて──。 .
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