【彼女は逃走不能】

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  覆いかぶさる重みに、頭の中が白く染まっていく。 「飛鳥……」  初めて呼び捨てにされて、泣きたいくらい嬉しかった。  漏らす吐息を、その度に口唇にすくい取られて、逆に注ぎ込まれもして。  いつ、まともな息をしたらいいのか判らなくって。  こうして、組み敷かれる悦びは、女にしか判らないものなのかな。  見上げる先の彼の表情から、次第に余裕がなくなっていくのをそっと盗み見た。  こんな些細な瞬間さえ、心が震える。  ──ねえ、先生。  先生は、さっき諦めたような声で何か言ってたけど。  先生だって、あたしにそうさせるんだよ。 .
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