第3章

6/35
前へ
/35ページ
次へ
   人生は、どうやら思っていたよりしんどいものらしい。  そんなことを考えながら、学年主任に連れられ軽く校内を案内された。  俺が補佐をするのは、教師にも生徒にも一番余裕のある2年生。  こっちとしては、まだ多少“高校生”に慣れていない1年か、受験で自分のことに精いっぱいな3年が良かったと思うが、学校としてはそうも行かないのだろう。  不満に感じつつも、納得はできた。 「風が冷たいですね。窓、閉めますね」 「あ、すみません」  いえ、と言いながら学年主任は西日が当たって光る内倒し窓を、ギリギリと音をさせて閉める。  立てつけが悪いのだろう、空気が滲むような音に少し鳥肌が立った。 .
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

288人が本棚に入れています
本棚に追加