【Side 伊達:その名は毒殺】

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   前田さんが気になって、不利そうだから肩を持とうなんて思っちゃいない。  傍から見れば、思春期にはよくある小競り合いなんだろう。  ──だが、どうしてだか俺には判った。  被害者のような顔をしている4人は、この状況に少なからず酔っている。  そして前田飛鳥という少女は、何か譲れないもののために口を閉ざし、周りからの責めにじっと耐えていることを。  この手の頑なさは、責めたって本当のことを喋りやしない。 「──少し、前田さんと話をしてもいいですか?」  考えるより先に、言葉が出ていた。 .
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