262人が本棚に入れています
本棚に追加
前田さんが気になって、不利そうだから肩を持とうなんて思っちゃいない。
傍から見れば、思春期にはよくある小競り合いなんだろう。
──だが、どうしてだか俺には判った。
被害者のような顔をしている4人は、この状況に少なからず酔っている。
そして前田飛鳥という少女は、何か譲れないもののために口を閉ざし、周りからの責めにじっと耐えていることを。
この手の頑なさは、責めたって本当のことを喋りやしない。
「──少し、前田さんと話をしてもいいですか?」
考えるより先に、言葉が出ていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!