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「先生、なんで」
いきなり割って入った俺に、職員室中の空気が止まった。
その隙に、前田さんを連れ出し、雑草だらけになっている裏庭の花壇まで引っ張ってきてしまった。
そんな俺に、前田さんは戸惑いに満ちた瞳を向ける。
そりゃそうだ、自分でもこの状況がよく判らない。
面倒なことは、嫌いなはずなのに。
「あまりにも一方的な状況だったので。ひとりの大人としては、見過ごせなくて」
そう言ってにこりと微笑みかけると、前田さんの瞳にみるみるうちに涙が盛り上がる。
その反応で、確信を持った。
さっきの沈黙は、自己保身のための意地などではなかったのだと。
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