【Side 伊達:その名は毒殺】

13/37
前へ
/37ページ
次へ
  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「先生、なんで」  いきなり割って入った俺に、職員室中の空気が止まった。  その隙に、前田さんを連れ出し、雑草だらけになっている裏庭の花壇まで引っ張ってきてしまった。  そんな俺に、前田さんは戸惑いに満ちた瞳を向ける。  そりゃそうだ、自分でもこの状況がよく判らない。  面倒なことは、嫌いなはずなのに。 「あまりにも一方的な状況だったので。ひとりの大人としては、見過ごせなくて」  そう言ってにこりと微笑みかけると、前田さんの瞳にみるみるうちに涙が盛り上がる。  その反応で、確信を持った。  さっきの沈黙は、自己保身のための意地などではなかったのだと。 .
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

262人が本棚に入れています
本棚に追加