【Side 伊達:その名は毒殺】

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  「……きみが嫌だというなら、黙ってますから。何があったのか、聞かせてもらえませんか」  今日の気候がうららかな小春日和で、助かった。  木枯らしでも吹こうものなら、こんなところでゆっくり話などできない。 「……せ、芹香には……」 「はい」 「芹香には、絶対言わないで……」 「……言いませんよ」  宥めるように言葉をかけると、前田さんの瞳からはらはらと涙が零れ落ちる。  一瞬、あたりを気にしてから──授業中だということを思い出して、彼女の頭をそっと撫でた。 .
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