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何かと彼女を辛口な気持ちで見ていただけなのかも知れない。
その日までは、そんなふうに考えることができていた。
仕事が早く終わったという彼女を食事に誘わなければ、あるいは違ったことになっていたかも知れない──なんて。
惜しむのとは違う気持ちで、そう思ったことは何年も覚えている。
゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚
「え?」
彼女の口から飛び出した言葉に、思わず自分の耳を疑った。
表情一つ変えず、彼女はもう一度繰り返す。
「だから、わざとぶつかってったの」
ニコリ、と微笑む彼女に違和感を覚えたのは、自分が悪いんだろうか。
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