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いかにも正しいことをした、という顔をされて、ますます違和感が広がる。
彼女の言いたいことも理屈も、充分に理解はできるのに。何故。
「だけど、危ないよ。怪我でもしたらどうするんだ」
「そこは、判ってやってるから。わざとぶつかるにしても加減できるもの。いたっ! って声上げたら、びっくりしてたよ」
必死に、考えた。
自分ならどうするかと。
だが、どう考えても、ぶんぶんと前後に振り回される傘を手で受け止め、「これ、危ないですよ」と声をかける自分しか想像できなかった。
俺にできるお節介なんて、それくらいだ。
わざとぶつかって一瞬被害者を装うなんて、形を変えた悪意ではないんだろうか……。
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