【Side 伊達:その名は毒殺】

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   ふと、昼前の一件を思い出した。  前田さんを加害者に仕立てようとしていた、4人の少女の顔を。  ──彼女達があのまま成長したら、  目の前のこの女になるのだと、  直感してしまった。  胸の奥の黒いモヤモヤが、一気に切実さを増す。 「……そう、でも、今度からはやめた方がいい」 「えー、でも、こういうのも世直しだよー」 「伝える気があるなら、危ないってちゃんと教えてあげた方がいい。たとえ知らない人でも」 「それができないから、こうして人柱が必要になるんでしょ。樹、社会ってもんを判ってないなー」  ……ズキズキと、瞼の裏が痛んでくるような気がした。 .
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