【Side 伊達:その名は毒殺】

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   世直しって。人柱って。  そうじゃないだろ、と思う。  あと、いい加減に上からものを言うのをよして欲しい。切に。 「判ってないのは、きみの方だ。それを悪意と取られて絡まれでもしたらどうする? そういうことに敏感な人間は、いくらでもいるんだよ」 「えー、咄嗟のことなのに、そんなの判るわけないじゃない」  自分の中で、何かがふっつりと切れる音がした。  音とは言えないほど、小さな小さな衝撃だったが。  これは、毒だ。  このままでは、俺はいつかこの女の無邪気な毒に殺される。 「……知らないよ、何かあっても」  それを口にするので、精いっぱいだった。 .
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