【Side 伊達:その名は毒殺】

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  『樹もさー、社会に出たらつく上司は選んだ方がいいよー』  カチン、と来る言い方だと思った。  大学院生とはいえ、俺も働いていることに変わりはないんだが。  いや待て、俺も不慣れな教師生活にストレスを感じているから過敏になっているだけだ。  そう自覚はないが、少し疲れてナーバスになっているだけだ。  ささくれ立ちそうになっていた気持ちをそう撫でつけて、彼女の話の続きを促す。  そうしながら、理不尽な気持ちに駆られていた。  そりゃあ、彼女が不愉快な思いをしているのなら、それを少しでも減らしてやれたらと思う。  もう6年も付き合っているんだし、互いの荷物を分け合うことも脳裏に過ぎる。 .
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