【Side 伊達:その名は毒殺】

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  「前田さんなりにちゃんと理由があったんだと、僕が先生方に伝えたのはそれだけですよ」 「そうなの?」 「ええ。普段の前田さんの態度で、それくらい判るでしょうと」 「……それは言われた。頭に来たからってもう手は出すなって。それだけ」  ──本当は、  喧嘩を仲裁していた女性教師にだけ、  前田さんのことを話した。  あの場で采配を振るうのは、俺ではない。  いくら俺が口添えしたところで、真相らしきものが出てこなければ、前田さんが一方的に叱られるだけだったはずだ。  女性教師はポカンとして、「そんなことなら早く言えばいいのに」と溜め息をついていた。  だが「女子高生にだって、プライドはありますよ」と言ってやると、ハッと目が覚めたような顔をして「任せて下さい」と真剣に頷いてくれた。 .
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