【Side 伊達:その名は毒殺】

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   彼女の言葉を聞きながら、ふと「きみも俺のこと、それに近い感じで見てやしないか」と過ぎった。  が、疲れて気分が荒んでいるのだろうと思うと、聞いてやるしか選択肢はない。  ここで「きみの受け取り方も悪いんじゃないか」なんて言ったところで、喧嘩になるだけだ。  こっちもなれない学校勤めでてんやわんやだっていうのに、これ以上ごたごたするのは本意ではない。  昔はもう少し感じのいい女だったな、とぼんやり思い出すだけだ。  別に、戻りたいなどと思ってはいないが。  戻りたいと思うほどの何かなんてあっただろうかと、ひどく冷めた気持ちで思う。 .
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