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反面、自分の中の何かが少しずつ輪郭を失い、壊れていく光景が見えた気がした。
それはたぶん、もう少し幼かった時分には、失うものではないと盲信していられたもの。
──ああ、自分自身というのは
時間と共に疲弊し、少しずつ
崩れ落ちていくものなのかも知れない。
彼女の笑い声を聞きながら、自分の胸にはやたらそれが虚しく響く。
これは、何だろう。
不愉快とまでは行かない。
だが、知らないうちに胸に風穴が空いていたような。
そんな気分だった。
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