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「こうも連続での討伐はさすがに堪える……」
そうでなくてもまだ慣れない戦闘で精神的にもキツイものがある。
「そう?じゃあ少し休憩しましょうか。……それに、ちょうどいいから水浴びもしてきたら?」
剣を杖のようにして立つ俺に、ミスティがまるで汚物を見るかのような目を向けてくる。
言われてみれば、蒸し暑い森の中での戦闘が続いたからか全身は汗でびっしょり。
さらに必死に足掻いてギリギリのところで戦っているから地面を転げまわる場面もあって泥だらけ。
しかも、さっき討伐した平面なトカゲの体液を浴びて服が緑色に染まっている部分もある。
そして鼻をツンと刺激する匂いのオマケ付き。
「……その体液、口に入れるとお腹壊すわよ」
「そういうことは早く言ってくれ」
袖に付着した緑色の体液を恐る恐る嗅いでいた俺に向けて、腹の底から嫌な物を見るような目で忠告してきた。
いや、別に味見しようとは思わない。
「近くに川があったから、体洗ってきたら?」
「そうする……」
平面トカゲ……クログと言うそうだが、それを見つけた岩場の多い小川へと足を向ける。
クログは主に流れの緩やかな川に生息していて、普段は岩に張り付いて獲物を待ち伏せるそうだ。
今日見つけたクログの群れは7匹。
その近辺にはもうそれ以上の固体はいないようだった。
「私は近くで他の獲物探してるから」
「わかった。迷わないでくれよ?」
天然であることを考慮した上での言葉だったのだが、気に障ったのか頬を膨らませていた。
「おー……改めて見ると綺麗な川だな」
流れは緩やかで透明度が高く、水面は木漏れ日を反射して眩しい。
とりあえず服と体を洗おう。
この天気なら乾くまでそんなに時間はかからないだろう。
念のため近くに危険な生物がいないか見回し、圏術でも探って様子を見る。
いくつかの気配がしたけど、大型のものではなく、俺の存在を察知しているのか近付こうとする生物もいなさそうだった。
近くの岩に剣を置き、マントと服を脱ぐ。
続いて下も脱いで……。
「げ……下着まで浸透してる……」
特に上等の素材でもない、いわゆるおパンツまで緑色の液体に侵食されていた。
肌に触れる程度であれば害はないそうなのだが、気分的にあまりいいものではない。
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