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…………一緒に洗ってしまうか。
右、よし!
左、よし!
周囲の状況、よし!!
左右及びその周辺を指差し確認した後、俺は思い切って大自然の中で生まれたままの姿となった。
とても言葉にできないほどの開放感。
風通しがよすぎて逆に落ち着かない。
こんな姿、ミスティはもとより銀麗にも見られようでもしたらどんな視線を向けられるかわかったものじゃない。
ひんやりとした水の中に足を踏み入れ、全身の汗と泥、付着した体液を洗い流す。
そしてマントや服もざぶざぶと洗濯する。
まだ乾いてないから結構簡単に落ちてくれそうだ。
シミにならなきゃいいけど……。
もう何度目になるかもわからない、後悔。
自分の愚かさと油断、そして危機感のなさ。
いつの間にか鼻歌を奏でながら洗濯をしていた俺の前に、蛇のような生物が川の中から顔を出していた。
「……またやってしまった……」
ふと手元を見ると、今洗っている服から流れ出ているのは緑色の体液と、真っ赤な返り血。
おそらく、またこの血の匂いで明らかに危険と思われる生物を呼び込んでしまったのだ。
徐々に距離を詰めてくる蛇……じゃない……鰐……?
「な、なんだこいつ!?」
いや、本当になんなんだ。
浅瀬まで上がってきたのは、鰐の体に蛇の頭を持つ、首の長い爬虫類だった。
頭は大きな三角形で、首はまるでコブラのように広がっている。
両目の上には角のような突起物があり、全身がでこぼことした皮で覆われている。
見た目で判断するのはよくないとか言ってる場合じゃない。
だって完全に俺を狙ってる目してる。
咄嗟にその場から離れ、置いてあった剣を手に取る。
すぐに圏術で他の気配を探るが、今は目の前のこいつだけしかいないようだ。
ミスティと銀麗、マクの気配も感じられないから、結構離れてしまっているようだ。
さすがに長時間も離れてることはないだろうから、きっとそのうち戻ってくるはずだ。
仕方がない……それまでは俺一人で対応してやる。
初めて見る鰐もどきと、全裸の俺との戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。
あ……マント流れていった……。
下着だけでも履いておくべきだったとこの短時間で二度目の後悔をした。
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