自由市場

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テルミと初めて出会った時の印象は『健気な女』だった。 「始めまして、テルミです。」 そう言って俺に小さな名刺を差し出した。 「山崎シンヤです。」 「シンヤさん? 格好良い名前ですね。 テルミはそう言って、どこか影のある笑みを浮かべた。 だから、気になった。 「・・・・寂しそう、ですね。」 「わかりますか?」 「何かあったんですか?」 「・・・・実はー・・・・」 それから俺はテルミの話しに耳を傾けた。小一時間程話をした後、テルミは言った。 「・・・・私、シンヤさんにだったら心を開けるかも」 太股に手を置かれながら、肩に寄りかかるテルミ。 女にあまり慣れていない俺は、一発でノックアウトだった。 別に枕営業に対しての嫌な気持ちとかは無かった。 しかし、事態は一辺する。 俺がシャワーを浴びている隙にテルミが俺の鞄から、例の裏通帳を取りだし、金額や通帳番号等々を写メしていたのだ。 通帳名義が『山崎シンヤ』。 振り込み相手が会社になっている多額の金額が記載された通帳。 俺はその事に気がつかないままだった。 それから、数日が経った頃、テルミから「会いたい」とメールが届いた。 そして俺は裏通帳の残高が無くなるまで、ゆすられた。
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