5人が本棚に入れています
本棚に追加
テルミと初めて出会った時の印象は『健気な女』だった。
「始めまして、テルミです。」
そう言って俺に小さな名刺を差し出した。
「山崎シンヤです。」
「シンヤさん?
格好良い名前ですね。
テルミはそう言って、どこか影のある笑みを浮かべた。
だから、気になった。
「・・・・寂しそう、ですね。」
「わかりますか?」
「何かあったんですか?」
「・・・・実はー・・・・」
それから俺はテルミの話しに耳を傾けた。小一時間程話をした後、テルミは言った。
「・・・・私、シンヤさんにだったら心を開けるかも」
太股に手を置かれながら、肩に寄りかかるテルミ。
女にあまり慣れていない俺は、一発でノックアウトだった。
別に枕営業に対しての嫌な気持ちとかは無かった。
しかし、事態は一辺する。
俺がシャワーを浴びている隙にテルミが俺の鞄から、例の裏通帳を取りだし、金額や通帳番号等々を写メしていたのだ。
通帳名義が『山崎シンヤ』。
振り込み相手が会社になっている多額の金額が記載された通帳。
俺はその事に気がつかないままだった。
それから、数日が経った頃、テルミから「会いたい」とメールが届いた。
そして俺は裏通帳の残高が無くなるまで、ゆすられた。
最初のコメントを投稿しよう!