自由市場

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『・・・・昨日会社に来なかったヤマシタテルミさんの自宅に何者かが押し入り、暴行を受け後、鋭利な刃物で数ヵ所を刺されている姿を、心配になった同僚の・・・・』 「嘘、だろ?」 俺は持っていたリモコンを床に落とした。 テレビには、キャバクラに飾られていた写真がそのまま映っていた。 「ほんとに、テルミが・・・・」 意味が分からなかった。 「あ、携帯・・・・」 俺は、無意識に例のサイトから来たメールを開いた。 だが、何処にも連絡先が記入されていない。 「な、なんで?」 震える手で、パソコンを開く。 そして、2ちゃんねるを確認する。 『あれれれ、あのニュースの人って、昨日フリーマーケットに出てた人だよね』 『あっちゃぁ、恐らく買った奴がやったんだね』 『って、仕方ないよフリーマーケットだもん(笑)』 読み進めていくうちに、自分の仕出かした事の重大さを知る。 「あぁぁぁぁっ」 俺は大声で叫んだ。 恐怖で頭から冷えていくのを感じた。 『ネットサイトの『フリーマーケット』は何でも売れるし、買えるし、買ったものは好きにしていいんだよね~。 だって、 イラナイモノ なんだから(笑)』 俺は、吐き気に襲われた。 だから、知らなかった。
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