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自分が、売り出されていたなんて。
「な、なんで、俺が、いる!」
突然玄関のチャイムが鳴り響いた。
クラクラする体を引きずり、どうにか玄関の扉を開ける。
「・・・・どちらさま」
全身を黒い服でまとめ、深く帽子を被った人がいた。
見覚えのない人。
「山崎シンヤ?」
低い声でフルネームを呼ばれる。
とっさに返事をしてしまう俺。
「・・・・私が貴方を買ったんだ。
だから、好きにしていいよね。」
「え?」
「だって、私のモノだから・・・・ね」
「つっ」
ニヤニヤ笑うソイツ。
まったく動けず、固まっている俺。
ポケットに手をいれると、電話をかけた。
相手は、あの、会田先輩。
数回のコールの後に先輩がもしもし、とけだるそうに出た。
「た、助けて!」
声が震えていた。
「どうした?シンヤ」
「お、俺が、売られて・・・・」
すると、電話越しに笑い声が聞こえた。
「ハハハハハ、お前、
スンゲー安かったぜ?」
「あ、あいだ、どうして…」
俺は、会田先輩に売られたのだ。
「ど、どう、して?」
「お前が俺の金蔓だったテルミを売っちまったからだよ!」
じゃぁな、そう言って電話は途切れた。
「・・・・キミさぁ、あの女より、良さそうだね・・・・」
そう言って、黒い人は、
背中から、
大きなモノを取り出すと、
俺の顔に
光を当てた。
…end。
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