自由市場

9/10
前へ
/10ページ
次へ
自分が、売り出されていたなんて。 「な、なんで、俺が、いる!」 突然玄関のチャイムが鳴り響いた。 クラクラする体を引きずり、どうにか玄関の扉を開ける。 「・・・・どちらさま」 全身を黒い服でまとめ、深く帽子を被った人がいた。 見覚えのない人。 「山崎シンヤ?」 低い声でフルネームを呼ばれる。 とっさに返事をしてしまう俺。 「・・・・私が貴方を買ったんだ。 だから、好きにしていいよね。」 「え?」 「だって、私のモノだから・・・・ね」 「つっ」 ニヤニヤ笑うソイツ。 まったく動けず、固まっている俺。 ポケットに手をいれると、電話をかけた。 相手は、あの、会田先輩。 数回のコールの後に先輩がもしもし、とけだるそうに出た。 「た、助けて!」 声が震えていた。 「どうした?シンヤ」 「お、俺が、売られて・・・・」 すると、電話越しに笑い声が聞こえた。 「ハハハハハ、お前、 スンゲー安かったぜ?」 「あ、あいだ、どうして…」 俺は、会田先輩に売られたのだ。 「ど、どう、して?」 「お前が俺の金蔓だったテルミを売っちまったからだよ!」 じゃぁな、そう言って電話は途切れた。 「・・・・キミさぁ、あの女より、良さそうだね・・・・」 そう言って、黒い人は、 背中から、 大きなモノを取り出すと、 俺の顔に 光を当てた。 …end。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加