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「すみません、こちらもご挨拶を……!」
慌ててジャケットの内ポケットから名刺入れを取り出し、片柳さんの所作と同じく、差し出した。
「申し遅れました。株式会社coocafe、人事部マネージャー、篠宮円華(しのみや まどか)と申します」
「頂戴致します」
スッと伸びてきた細長い指が、私の手から優しく名刺を引き抜いた。
「円華さん、素敵なお名前ですね」
「えっ!? あ、ありがとうございます……!」
向けられた言葉も、笑顔も、社交辞令だということは分かりきっている。
それでも心臓が跳ね上がってしまうのは、恐ろしいほどに整った、片柳さんの容姿のせいだ。
艶やかな黒髪は短くカットされ、柔らかなウェーブがかかっている。
アシンメトリーに整えられたヘアスタイルが、彼の均衡な顔の造りをより引き立てている。
本当に、完璧としか言い様がない。
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