5月上旬/運命のスレチガイ

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「だってあんなイケメン滅多にお目にかかれないじゃん! 今日を逃したらもう二度と会えないかもって思ったら……」 「エン、私の話聞いてた? 『新しい担当の人』って言ったでしょ」 「あぁ! そっか、そうだよね……何してんだろ私」 「バッカだねー、エンは」 萌はさも楽しそうに笑いながら、オフィスチェアの背もたれをギシギシと揺らす。 前後する萌の姿を見下ろしながら、私はもう一度大きくため息をついた。 「ま、でも。イケメンだからってどうこうなりたいワケじゃないんだけどさ」 これは、ごく自然と出てきた言葉。 つまり、本音の本音。 いくらイケメンだったからといって、その先の何かを期待しているわけではない。 今回は、私の本能が暴走してしまっただけ。 大好きなアイドルと街でばったり出くわしてしまった時の行動、例えるならばそんな感じ。
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