6073人が本棚に入れています
本棚に追加
「んもーぅ!」
面と向かって言えない不満は、モノに当たるのが一番だ。
「私は便利屋じゃないっての!」
腕の中でカサリと音を立てる紙束に、睨みを利かせる。
苛立ちの対象はもちろんソレではないのだけれど、こうして間接的にでも念を送っておかなければ気が済まない。
「ま、断れない私が悪いんだけどサ」
そう。全ては私の、この矛盾だらけの性格のせい。
我も気も強いくせに、情にはてんで弱い。
所謂、断れない人間。
「ま、ちょーど気分転換したいところだったし、いいけどね!」
そして行動の末端には、必ず言い訳を添える。
けれどこうして自分の行動を肯定してあげないと、身がもたない。
これは25年の人生で培ってきた、自己防衛術。
最初のコメントを投稿しよう!