5月上旬/運命のスレチガイ

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「……誰?」 次第に襲ってくる、焦燥。 「誰、誰!?」 慣れ親しんだ通路の先に続くのは、同じく慣れ親しんだオフィスの一室。 「ねぇ!」 その扉を押し破るように、駆け込んだ。 「エン、どうしたの?」 「いま超絶イケメンとすれ違ったんだけど!」 「えっ? あぁ、あの人新しい担当さんだって。さっきもらった名刺がここに……」 「貸して!」 「あっ! ちょっとエン!」 抱えた紙束をデスクに放り投げ、同期の手から真白の紙を奪い取ると、食い入るように顔を寄せる。 「株式会社RAPAC……」 左から、右へ。 「人事コンサルタント」 一文字も取りこぼすことのないように、呟く。 「KA、TA――――かたやなぎ、とおや」
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