『ついてない男』

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 『ついてない男』

 その日ついに、塚内君が百連敗という大記録を打ち立てた。  決して麻雀が下手ってわけじゃない。  でも何故か肝心な所で振り込んでしまう。  異常に勝負弱い人なのだ。 「塚内君、何かに取り憑かれてるんじゃないの? 僕んちの近くに心霊相談所ってのが有るから行ってみない?」  僕が誘うと 「そうだね。百連敗なんて普通じゃないもんね」  塚内君も同意した。   翌日、僕等は心霊相談所のドアを叩いた。  出迎えてくれたのは、顔に不気味なペイントを施した若い女性。  渡された名刺にはこう書かれている。  黒猫心霊相談所(有) 霊視課・主任技師 ミレルノ本間     素は美人なんだろうけど、気味の悪いペイントのせいで台無しだよ、ミレルノさん。  見料五千円を払うと、ミレルノさんは水晶球に向かって意味不明な呪文を唱えた。 「……見えます。あなたの後ろに貧乏神の姿が、ハッキリと」 「貧乏神!?」  仰天する塚内君。 「その貧乏神、落としてもらえませんか?」 「私は霊視専門で、除霊は担当外です」
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