『ついてない男』

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 仕方がないので次の手を考える。  僕が通っているM大にはオカルト研究会なるサークルが有り、そこに悪友の礼矢裕太郎が居る。  礼矢に塚内君の話をすると 「面白い! 是非会わせてくれ」  と、大乗り気。  塚内君を連れてオカルト研究会を訪問すると、礼矢は紙製のカードを持って待っていた。  貧乏神のパワーを測りたいと言う。 「裏に星が描いて有る方が当り。無い方が外れ。私が二枚出すので好きな方を選んでください」  実験は100回行われ、結果は当り48回、外れ52回。 「あんまり差が出ないね」 「う~ん、お金が賭かってないからかな?」  今度は当り一回につき+百円、外れは-百円ということにして再実験。  すると、驚くべき結果が出た。  当り27回、外れ73回。  これは只事じゃない。 「塚内君、今日一日実験に付き合ってくれ!」  礼矢が声を張り上げる。  僕は午後の講義に出るために一旦退室した。  あの様子じゃ礼矢は夕方まで塚内君を放さないだろう。
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