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「これ、塚内君と分けてくれ」
礼矢がそう言って僕に十万円を渡す。
「でもY電気の株下がってるぜ?」
「実はあの3銘柄、叔父さんが所有してた株でさ、どれを売ろうか迷ってたんだよ。で、塚内君が指定したY電気を売ったってわけ。おかげで五百万得したって、三十万もくれたよ」
なるほど、そういう事か。
ここで僕は閃いた。
何も礼矢にばかり美味しい思いをさせることはない。
早速チラシを作った。
”迷った時の決断に、百発百中『スピリチュアル・TUKANAI』”
事務所は、黒猫心霊相談所の隣が空いていたのでそこに決めた。
「これは何の嫌がらせですか?」
無表情のまま文句を言うミレルノさん。怖いよ。
「大丈夫。ミレルノさんとは客層被らないから」
客が株を買う場合は値下がりしそうな銘柄を、売る場合は値上がりしそうな銘柄を、塚内君が予想する。
塚内君の予想が当れば十万円を塚内君に支払う。
外れれば僕が十万円を貰う。
どっちにしても客は十万円払う事になるのだが、それで株価の変動がわかるのなら安いものだ。
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