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「カナ……カナ、なのか?」
「やっとわかったの? あんなに一緒にいたのに」
「わかる訳、ないだろ?」
「確かに」
でも俺は男の人を……カナを抱きしめた。
「嬉しいよ」
「コウ、腐女子が喜ぶよ?」
冷静につっこむと、コウが慌てて離れた。おかしくてふきだしてしまった。
「憶えてる?」
夏休み、家族旅行で行ったキャンプ。満点の星の下、寝転んだ。
「カナちゃん、それ」
「だって、この子じゃないと眠れないんだもんっ!」
くまのぬいぐるみがうつぶせに寝ている枕は、今ではもうボロボロだ。でも、あの時はまだ買ってもらったばかりで、大のお気に入りだった。
「そっか」
薄闇の中で、コウが笑う。だから私も笑った。
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