真夏の大三角形

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 いつもの通学路。角を曲がり、広い通りに出る。信号は青だった。だから横断歩道を渡ろうと、一歩足を踏み出したんだ。 「え……」  猛スピードで迫る車体。スローモーションで動く世界で、私の体は飛んだ。 『うーっ……この先は思い出すの、やめよう……』  ともあれ、16歳にして他界という展開。 『ありえないんですけどーっ! っていうか、人は死んだらこうなるの?』  死というモノに対して抱いていたイメージと全然違う。とはいえ、こんな風に一生を終えるのも腑に落ちない。 『天国? それとも?』  胸に手を当て、考える。でも、悲しいかな。すいっと空振り。 『実体がないから、か』  見下ろせば私がいる。せめてもの救いは、顔に傷などなかった事だ。あの衝撃だったから覚悟していたけれど、まるで。 「眠っているみたいだ」  コウ。そんなに腫らした目で私を包まないで。苦しいよ。切ないよ。 『幽霊でも……』  涙、出るんだよ?
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