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実は、そろそろ不安になっていた。最初はパパやママ、コウや学校の友達の嘆きが辛かった。だから離れがたくて。
だけど、彼らは生きている。前に進んで行かなくてはならないのだ。
では……私は……?
『このまま地縛霊パターン? でも未練なんて……そりゃあ、ないと言ったら嘘になるけど……』
約束、していたのだ。
陸奥屋百貨店。私が生まれる前から、ずうっとこの街にあった場所。そこもコウとの思い出にあふれていた。
しかし今日、その場所は惜しまれつつもなくなってしまう。
「最後の日、一緒に行かないか?」
あの日のコウの姿に、胸の奥が小さく鳴る。
『コウ……』
その時だった。
「北川君」
「牧瀬?」
どうして? 屋上に続く階段。コウと……私の親友、リエがいた。
「どうした?」
「あっ……あの……」
本当に不思議そうな表情をコウは浮かべ、三段下に立つリエへと一段下がる。
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